調査・記録保存

 

EDAYA FOUNDATIONでは、2012年12月~2013年1月、フィリピン・北ルソン・カリンガ州の17の山岳先住民族の村にて伝統音楽・無形文化に関する実態調査を行い、取材の様子を映像や写真で記録しました。

◆記録映像◆

Ready for? (クラウドファンディング)用 EDAYA JOURNEYプロモーションビデオ

2012年12月~2013年1月に行った、EDAYA JOURNEY 調査編からの映像で作成した、クラウドファンディング用広報ビデオ。カリンガの山奥の村々を、竹楽器を求めて訪ね歩いた際に集めた映像を、紹介用に短くまとめました。

◆カリンガについて◆

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カリンガというのは、部族の名前であり、場所の名前でもあります。その昔、まだ州や市、村といった行政による区分がなかったころ、そこに存在していたのは、カリンガ族の人々で、行政は彼らの支配する領域を、カリンガ州と名付けたのでした。(正確にはカリンガーアパヤオ州からカリンガ州へ変遷)

調査では、何人もの歴史家、ご年配の方を訪ね歩きましたが、カリンガの人々の発祥の歴史は、まだはっきりとはわかっていないのだそう。だから、何をもってしてカリンガ族を定めるのかも、難しいそうですが、BUDONGというカリンガ特有のSub-tribe同士の協定の仕組みを共有する人々をカリンガ族と定義する説が、一番有力なようです。

ちなみにカリンガ族は細かくは45の Ancestral Domain (先祖伝来の土地)の区分に元づくsub- tiribeに分かれ、それぞれが似ているけれど、異なる文化を持っています。日本でいえば、かつて、江戸時代など藩ごとに強いアイデンティティがあり、文化も少しずつ異なったというイメージです。ただ、カリンガが日本と違うのは、そのsub-tribeごとに強いアイデンティティゆえに、非常に閉鎖的で、それゆえかつては頻繁にtribal war (sub-tribe間の闘争)が起こっていたということです。(江戸時代より戦国時代のイメージでしょうか。)

だから、今でも、カリンガのある村に行きたいとなれば、その村の出身者やその村と親せき関係にある人などをガイドに探さないと、なかなか足を踏み入れることができません。そういう意味でも、本調査は、非常に大変でした。

今回メインで訪れたのは、カリンガ州の3つの市、パシル市、バルバラン市、ルブアガン市。13のsub-tribeを訪ね、6のsub-tribe、村にして8つの村で楽器の名手を見つけることができました。彼らの演奏や話を記録保存したビデオや写真は、2013年3月に開催したEDAYA JOURNEY展にて展示すると共に、2013年5月にはカリンガ現地にも持ち帰り、巡回展覧会という形で、現地の方に共有しました。

写真は州都のタブックで、すべての市へのジープニーの発着地です。地図はwikipediaから